個体識別
ザトウクジラの尾びれの微細形状や腹側の模様は1頭ごとに異なり、その特徴から個体識別(ID化)することが出来ます。さらに、個体識別調査を継続的に進めることで、年ごと・海域ごとの生息数や回遊経路が明らかになり、ザトウクジラの生態をより詳しく知る手がかりになります。
当協会では、1991年の開設当初から慶良間諸島近海を訪れたザトウクジラの尾びれ写真を収集し、個体識別作業を進めてまいりました。その結果、30年来ほぼ毎年回遊してくる個体、初めて慶良間の海にやってきた個体、模様のユニークさから座間味で愛称が付いた個体など、個体レベルでのクジラ情報を提供することが可能になり、座間味村ならではのホエールウォッチングに反映されています。
近年では、ウォッチャーの方々からの写真提供をいただくことで、新たに年間150頭~250頭のID写真が集められており、識別個体の総数は約1,600個体に及びます(2023年12月時点)。
しかしながら、識別済みの個体数や回遊してくる個体数が毎年増加するにつれ、人の目での写真照合にかかる負荷が大きくなってきています。研究機関では、AI を用いた写真照合システムの開発が進んでおり、当協会でも導入に向けた検討を進めています。
識別個体の例
ZA-8 ゼット(Zed)♂
1990年3月8日の初確認から30年以上に亘り確認されている座間味で最も有名なクジラです。 尾びれの右側にくっきり「Z」の⽂字があるのがわかりますか?
ZA-177 ホワイトレディー ♀
胸びれの腹側・背側共に⽩く、⽔中を泳ぐ姿が⽔⾯越しに⻘⽩く輝いて⾒えます。1999年からほぼ隔年で、 ⼦ども連れの姿を見せてくれる⺟クジラです。
ZA-186 すぬーぴー♂
真っ⽩の中の⿊点が、スヌーピーの顔のように⾒えることから名付けられました。 2000年から毎年のように確認されています。